主催者挨拶

第34回日本エイズ学会学術集会・総会
会長 桒原 健
一般社団法人 日本病院薬剤師会

この度、第34回日本エイズ学会学術集会・総会を開催する運びとなりました。当初、2020年11月27日(金)から11月29日(日)の3日間、幕張メッセ国際会議場での開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に対し、開催方法等について慎重に検討を重ねた結果、Web開催の形に変更させていただくことといたしました。

1981年6月、米国で後にAIDSと呼ばれる症例がMMWRに報告されてから約40年が経過しました。抗HIV薬は1987年に満屋裕明博士らが開発されたAZTを始めとして、これまで多くの薬が開発され、現在では1日1回、1回1錠での服薬が可能となっています。HIV/AIDSの治療に関係する「くすり」には、抗HIV薬だけではなく、感染症治療薬や抗がん薬など、多様な薬が使われ、健康食品や、さらには中毒性を有する薬物(ドラッグ)など、様々なものが関係しています。

今回は、薬剤師という職種の医療者が初めて大会長を仰せつかった学会であり、HIV/AIDSを「くすり」という観点から考えてみたいと思い、テーマを「進化を続ける抗HIV薬〜Prevention, Treatment, and Beyond〜」といたしました。大会ポスターにはAZTの構造式、日本での発売年順に並べた抗HIV薬、その時々のHIV/AIDSに関係するトピックを配置しました。これまで進化を続けてきた抗HIV薬の歩みを振り返ると共に、チーム医療も含めて、我々がHIV/AIDSから学んだことを再確認し、今後さらに進化する未来の抗HIV薬や、「くすり」を取り巻く環境などについて議論できる場にしたいと考えています。抗HIV薬は治療から予防へと拡がりを見せています。そして、その先に拡がる未来の姿にも、今回の学会では触れてみたいと思います。

今年の日本エイズ学会学術集会・総会がWeb開催となることは、日本エイズ学会にとって初めての試みです。新型コロナウイルス感染症の影響を受けたこの時だからこそ、最新のHIV/AIDSに関する情報発信・交換の場を失うことや、学会活動を中止・先送りすることは、避けなければならないと思います。2020年というこのタイミングで主催できることを、とても光栄に思うと共に、大きな責任を感じています。これをチャンスととらえ、新しい情報発信の方法を模索しながら、全力で取り組む所存です。

本学会が、ご参加いただきます皆さまの意見交換の場となり、さらにHIV/AIDSを取り巻く環境の未来を築く場となりますよう願っております。多くの皆さまのご参加を、心よりお待ち申し上げております。